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オークション詐欺と警察


Police!
Police! / zeraien


あまり毎日どう動いているだとか、どのような依頼があっただとか言うのは、個人的には品が無いと考えているのでしない主義なのだが、今日は少しそれを破ってあったことを書いてみる。

そもそも自分の決めた規律にはさほど厳格には従わないのだが、それにしても破ろうと思ったのは、それが同じような悩みを持っている人に少しは役立つだろうという事と、行政書士にとってもそれなりに意味があり、少しはビジネスチャンスになりうると思われるからである。

だらだらと書いていないで、本題に入る。

事案はこうである。よくある事案だ。


ネットオークションで買った品物がこない。

連絡が取れなくなった。

同じ出品者から同じような被害を受けている人が大勢いる。


この段階で依頼を受けた。

内容証明を書いてほしいとのことである。


内容証明などとのん気なことを言っていずに警察に行けと思われるかもしれないが、依頼者としてはすぐに警察に駆け込んだらしい。

警察は民事不介入を理由にとりあわず、「とりあえず内容証明でも出してみては」と言ってきたそうだ。

本人いわく捜査なんかする気なく、突き返そうとするばかりだったとのことだ。

まあ警察としても仕方ないといったところか。


確かにそういうことでもなければ、一般の方が内容証明という言葉を知る機会はない。

私に対して内容証明を依頼してくる機会もないわけである。

ここら辺にも行政書士側からするとヒントが転がっているわけであるが、主題とずれるので突っ込まない。

とにかく内容証明を作成し発送した。

さらに事務所メールから相手にさっさと送るように、送れないなら金銭を返せというメールをしたりもした。


大方予想通りであるが、内容証明は宛先知らずですぐに返信された。

メールも無視された。

予想外だったのは、出品者は逃げも隠れもせず出品し続けたということである。


内容証明を出したので依頼を受けた業務としては終了しているのだが、さすがにそれっきりというのは職業倫理に反する。

完全に悪質ですし、あらためて警察にいった方がいいですよ。なんならついていきますし。

とだけ言っておいた。


ここで泣き寝入りしてしまう人も多いのかもしれないが、今回の依頼者は違った。

怒り心頭だったようだ。

ついてきてくれということになった。

行政書士の肩書を出せば警察の対応も違うだろうしとのことだった。


こちらは依頼ではないので、気楽な気持ちで警察署前で待ち合わせをし、警察署に入る。

これはあくまで私の感情であり、依頼者からすると乗りこむという感じだったようだ。

何せ以前に門前払いを食らわされており、心象が悪いからである。


こちらはのん気に行ったもんだが、依頼者のいる手前、品位が疑われるが、妙に「行政書士ですが」という言葉を接頭語として使った。

その割に、一階で予約されていますか?と聞かれて、それすら考えていいなかったので少しあせった。

依頼者がすでに予約してくれていたようで事なきを得たが、それにしても警察に相談するのにいちいち予約が必要なのは少しおかしいような気もする。


さて、まずは生活安全課の相談員の人が出てくる。

ここでも無意味な接頭語を使った上で、大まかな筋をさらっと私が説明すると、相談員は本人にさらに詳しい説明を求める。

私もそれがよろしかろうということで黙って聞いていると、本人は事の経過を細かく書いたメモ10枚近くを相手に渡し、読むことを求めた。

相談員はとりあえず口頭で説明してほしいと言う。

そのあたりで依頼者は頭にきてしまったようだ。

もちろん、以前門前払いやたらい回しされた苦々しい経験が伏線にあるのは間違いないが。


しかし、そのようなことがあってもさすがは警察官。あまり動じない。

私に「今回は被害届を出すつもりか?」と聞いてくる。

「そのつもりだ」と一応答えておく。

もちろん内心では依頼になってないし、被害届なんか作成してない。もし作成していたとしてもどうせ警察は素直には受け取らないでしょうにとは思っていたのだが。


相談員は、被害届を考えているのであれば刑事課だと言ってきた。

そういうわけで刑事課の刑事さんが出てきた。

年のころは30前半、修羅場を少しは潜り抜けた感のある男性である。

もちろん仕事場での修羅場だが。

スーツ姿でネクタイとシャツがよれた感じで、ネクタイはお世辞にもセンスがいいとは言えない。

しかしその全体的に疲れた雰囲気が刑事ドラマとは違った本物感を醸し出す。


取り調べ室はどこも満室らしく、廊下の奥の間仕切りをしたところにある机にパイプ椅子を三つくらい並べられて、その場で話をきいてもらうということになった。

この前の相談員とのやりとりを見ていたので、依頼者が相当頭にきてしまっている、一般の方には仕様がないことだが法律的には関係の無いことを話しすぎるという面が感じられたので、先に私が事実関係を大まかに刑事に説明してしまうことにした。

彼はそれを聞きながら漠然とメモを取る。

意外と字がきれいなのに驚いた。日頃の書類作成で鍛えられたような文字であった。

漠然とした流れを説明し終わった段階で、詳細に物事を聞く必要が出てきたので、刑事が依頼者に話を聞き始めた。


さすがに経験を積んでいるせいか話の聞き方、持っていき方がうまい。

少しくらいの厳しい物言いにもまったく動じない。

行政書士として日頃お客さんと対応していく上で非常に参考になった。

このあたりも関係ないので割愛としておこう。


さて、どうしても法律を知らないものと捜査側のものと利潤を考えつつ全体を見るものとの間では意識の統一が図れないので、時間はかかるのだが、それなりの共通認識を得ることができた。

要は依頼者の説明が終わったのである。


刑事の方から説明があった。

警察としては初動捜査を始める。

ある程度して嫌疑が固まってくればその段階で改めて被害届の作成に入る。

それには時間がかかるので、もう少ししたら連絡をする。

刑事と民事では問題が異なる。

損害賠償は民事の問題だ。云々・・・。


そういうわけで終了し警察署を後にする。

依頼者に感謝される。

行政書士の先生がいてくれたからここまで警察が話を聞いてくれたのだと思う。

ありがとうございました。

また何かあったら連絡します。

こちらは「そんなことありませんよ問題が問題だからきちんと警察が対応してくれただけですよ」と、真実なのだが謙遜とも取れるように言っておく。

その場で別れ、一杯飲みたい気分にはなったが、まだ昼だったのでから揚げ臭のきついローソンに入り、今までが高すぎたが最近適性価格なったホットミルクティを買いつつ帰途についた。


さて、ここまでは下手な日記なわけであるが、ここから得てほしい教訓というか知って欲しいことはこうなる。


ネットオークションで被害にあった方


どのように被害にあったかを時系列順にまとめておきましょう。

逐一証拠となるものをプリントアウトしておきましょう。

民事の問題を越えているという証明をするためにも内容証明を出し、無視されていることを明らかにしておきましょう。

警察署に事前に予約を取っておきましょう。

言いたい事を紙に書いてまとめておきましょう。

言いたい事は出来るだけ事件に関することに絞りましょう。

税金泥棒!などということは腹に思っていても言わないようにしましょう。


行政書士の方


警察が動くべきだが動いていない問題は多いのかもしれません。

相談したい方は意外と多いのかもしれません。

そこを資格と法律とを使って動くよう求めていくことで依頼者の利益になりうることもあるかもしれません。

相談と資料のまとめ、警察に対して説明を代わりにするなどをサービスとして提供することは可能なのかもしれません。

ここから発想を得て、皆様のお役にたち、感謝されることがあるかもしれません。

利益になったら当事務所に菓子折りの一つでも送ると喜ばれるかもしれません。


というわけで少々長くなったのですが、様々な方がヒントを得てよりよい生活を営まれることをお祈りしております。


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