ネット上で誹謗中傷された時に知っておくべき3つの事(まとめ)名誉棄損・侮辱を中心に
ネット社会ですから、どうしても誹謗中傷といった問題が発生してしまいます。
そこで、
- 何が問題となるか(名誉棄損・侮辱を中心に)
- 対応方法
- 費用
についてまとめてみます。
Contents
ネット上での誹謗中傷は何が問題となるか
結論から言うと、次のような事が問題となります。
- 名誉棄損
- 侮辱
- 信用棄損
- 営業妨害
- 脅迫
- 規約違反
それぞれについて少し詳しく述べていくことにします。
名誉棄損罪
あまり法律的に突っ込んだ議論は避けます。
細かい話はwikipediaの名誉棄損罪の項目をお読みいただければいいかと思います。
もちろん、学術的には正確性を欠いている部分もあるかとは思いますので、さらに突っ込んで勉強したい方は、
などは比較的読みやすいのではないかと思われます。(アフィリエイトになっていますので、気分を害される方はアマゾンなどで検索してみてください。)
さて、名誉棄損罪は、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に成立すします(刑法230条)。
ネット上で「○○は××していたらしいぞ、馬鹿な奴だ」などと発言してしまう行為等は典型例です。
事実の内容の真偽を問わない
原則として、発言の内容が真実であったとしても名誉棄損罪は成立します。
刑法230条の2 2項は、「公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。」としているからです。
この条文の解釈をめぐっては大論争となっていますが、その一端を知りたければ、wikipediaの名誉棄損罪の項目の「真実性の証明による免責」の項目をご覧ください。
それはさておき、公共の利害とは、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実などのことを言います。
公益目的とは、公務員または公選の公務員の候補者に関する事実などのことを言います。
つまり、一般私人に対する発言などは原則として、真実でも名誉棄損罪が成立するということです。
名誉棄損にあたるから発言をやめるようにと請求しても、
「これは真実なのだから名誉棄損にはあたらない」だとかいう反論を受けることがありますが、原則的にはその言い訳は通りません。
また、
「あの発言は真実だから名誉棄損にはあたらないだろう、泣き寝入りするしかない。」というのも原則的には間違えています。
侮辱罪
侮辱罪とは、事実を摘示しないで、公然と人を侮辱することです。(刑法231条)
「あいつは最低の人間だ」などといった発言は侮辱罪にあたりえます。
名誉棄損罪との区別は事実の摘示の有無だと考えるのが一般的です。
信用棄損罪
(現在制作中)
営業妨害罪
(現在制作中)
脅迫罪
(現在制作中)
規約違反
例えば、2ちゃんねるやヤフー、楽天などの場所で発言する場合は、それぞれの場所の利用規約に従わなければなりません。
大抵の場合、法令違反の発言は認められません。
規約違反の発言がなされた場合、場所を提供する方は、発言を削除する権限を持ちます。
問題解決に向けて取りうる方法と注意すべき事項
何を求めるか
誹謗中傷がなされた場合、求めるものとしては
- 削除
- 謝罪
- 損害賠償
が挙げられるでしょうか。
これらの目的をどう達成していくかを見ていきましょう。
対発言者
ネット上で
発言に対しては発言で対抗しようとする考えです。
目には目を、歯には歯をではありませんが、説得力をもって反論すれば一定の効果はあがるのかもしれません。
ただ、火に油を注ぐ結果にもなりかねません。
第三者が見ているということを分かった上で行われるのでしたらいいかと思います。
もちろん、相手のいる事なので、どのように対抗するかは細心の注意を払う必要があります。
手紙・電話等
相手と連絡がとれるのであれば、直接連絡をとることで個人的に話し合う事が出来るでしょう。
しかし、相手のいる事なので、話す内容や文章の内容は注意を払わなければなりません。
相手を一方的に攻め立てるのではうまくいかない事も多いでしょう。
自分の求める目的は何かをはっきりさせ、押すところは押して、引くところは引かなければなりません。
手紙であれば、行政書士や弁護士などに内容を相談してみることをおすすめします。
専門家でなくても、第三者の意見を少しは聞いておいた方が客観的なものの見方をすることができるでしょう。
例としては、
「あなたの行為は○○罪にあたる。損害賠償を求めたり、告訴告発してもいいのだが、削除さえしてくれれば謝罪も要求しないし損害賠償もしない。」
「貴女の行為は○○罪にあたる。民事上は不法行為にあたるから、損害賠償として○○円支払え。支払わなければ訴えを起こしますのでご了承ください。」
などです。
ただし、その場面場面に応じて適切な文章を考える必要がありますから、安易に写すことはしないでください。
内容証明
手紙を書くにしても相手に強い態度を示したいという場合でしたら、内容証明が役に立ちます。
内容証明は普通の手紙と違って郵便局の判が手紙の中に押された状態で送られます。
詳しくはこちらの郵便局の内容証明に関するページをご覧ください。
注意点
内容証明は良くも悪くも相手に心理的プレッシャーを加えます。そのため、内容には細心の注意を払うべきです。ひな型をそのまま利用するのはおすすめしません。
- 相手にどこまで要求するのか。
- 自分はどこまで折れるのか。
- どの程度の表現でとどめるのか。
- 相手が折れない場合の対策
など、いろいろな点に気を遣うべきです。
ご自分で出されるにしても、一度行政書士や弁護士等の専門家に相談されてみるといいかと思います。
管理者
ネット上での誹謗中傷ですから、ネット上のどこかの場所でなされていることになります。
個人のHP上でしたら管理者と相手が同じということになりますが、
しかし、2ちゃんねるや楽天・ヤフーなどの場所で発言がされているようでしたら、管理者が別にいますので、管理者に対して発言を削除するように願い出ることが可能になります。
管理者に対して削除を願い出る方法としては、対相談者と同様、ネット上で願い出る・手紙電話する・内容証明で願い出るなどといった方法があります。
これらの行動で管理者に削除を強制することはできませんが、後者になればなるほど強い意志を表す事が出来るでしょう。
警察
名誉棄損罪は親告罪です。
親告罪とは、簡単に言うと告訴しないと罰せられないということです。(もう少し詳しく!という方はこちらのwikipediaの親告罪のページをご覧ください。)
そのため、相手を名誉棄損罪で罰してほしいと願う場合は、告訴をする必要があります。
告訴状は警察に相談されてご自分で書かれてもかまいませんが、行政書士・弁護士も書くことができますので、相談してみてください。
裁判
まずは電話や手紙、内容証明などを使って相手と交渉を進めるべきです。
ただ、交渉が決裂してしまったら最後は裁判所に頼るしかありません。
裁判所へは損害賠償(慰謝料)を請求したり、謝罪広告を求めたりして訴えることができます。
訴訟の起こし方はあまり難しく考えることはありません。
通常訴訟の起こし方を詳しく知りたい方はこちらをクリックしてください。
ご本人なら単独でできます。
弁護士を頼んでも構いませんが、頼まなくてもできます。
費用
無料で行う場合
すべてのことをご自分ですることが基本となります。
行政書士や弁護士も初回無料相談をしているところがありますので、そこで相談されてみるのも一つの方法かと思います。
質問内容が公開されてもいいのでしたら、ネット上で質問できるサイトが数多くあります。
手紙などでしたら一般的な意見の方が専門家の意見より参考になる場合も多いかと思います。
1:はてな(http://www.hatena.ne.jp/)
2:OKWeb(http://okweb.jp/)
3:Yahoo!知恵袋(http://knowledge.yahoo.co.jp/)
4:NAVER 知識plus(http://plus.naver.co.jp/)
5:教えて!goo(http://oshiete.goo.ne.jp/)
などです。
行政書士に頼む場合
内容証明の作成や告訴状の作成などは行政書士に頼むことができます。
原則として行政書士の名前が入りますので、相手に与える心理的プレッシャーも高まります。
報酬は各自の行政書士が個人で決定します。
内容証明で1万円~3万円あたりが相場というところでしょうか。告訴状だともう少し上がるかと思います。
着手金の定めがあったり、成功報酬などが定められている場合もありますので、事前にきちんと聞いておかれるといいと思います。
訴訟に関しては行政書士に頼むことは認められていません。
弁護士に頼む場合
弁護士に内容証明や告訴状などの作成を頼む場合、この場合も各自の弁護士が値段を設定しますので、定価があるわけではありません。
行政書士よりは全般的に高くなるでしょう。
内容証明で3万円~5万円あたりが相場というところでしょうか。告訴状だともう少し上がるかと思います。
着手金の定めがあったり、成功報酬などが定められている場合もありますので、事前にきちんと聞いておかれるといいと思います。
訴訟に関してはご本人で行うか弁護士(額によっては特定司法書士)に頼むかになります。
訴訟を起こす場合、着手金として20万から30万、成功報酬として10%から20%が通常のようです。
必ず事前に報酬に関しての確認をとられることをお勧めします。
裁判所に頼む場合
裁判を利用する場合にもお金がかかります。
いくら損害賠償をするかによって変わってきます。
詳しくは裁判所の申立手数料の額(参考)のページをご覧ください。
ただ、思っているほど高くありませんので、ご安心ください。
裁判を受ける権利は憲法上認められている権利ですので、憶さずに利用しましょう。
最後に
ネット上での誹謗中傷がなされないことがいいのはもちろんのことですが、ネット社会がここまで広がってくるとそうはいかない状況になっています。
誹謗中傷を受けた側も無駄に泣き寝入りする必要はありませんし、過度に請求する必要もありません。
相手のいることですので、主張すべきところはきちんと主張し、ある程度我慢するべき時は我慢しましょう。
どうしても人間がぶつかり合いますので、自分の主張を完全に押し通すというのもあまりよくないでしょう。
無駄な泣き寝入りは、適切に専門家を利用することが出来ずに、悪い専門家に騙される場合にも生じます。
このページで最低限の知識を得ていただき、円満な解決を得ると共に、快適なネットライフをお過ごしいただくことをお祈りいたしております。
何か分からない事などありましたら、お気軽にご相談ください!
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カテゴリー:基礎知識